巫王残党の人体実験においてもう一人の生き残り。
巫王の残したアーツにして音楽の断片「塵界の音」を継承させられており、自身でも制御できない巫王の呪いに振り回されていた。
その魔力は周囲の人物の体内源石を活性化させ、感染者であれば鉱石病を悪化させてしまう(しかも一度は病状が好転したかのように見せかけてから一気に悪化させるもので、作中では擬似回復と呼称された)。
それゆえに一つの場所に留まることができず、お爺さんと共に放浪生活を送っていた。
お爺さんは実の祖父ではなく元は巫王の実験の犠牲者にして女帝派の密偵という立場であったが、過酷な環境からクライデを助け出し、己の身を顧みず彼に寄り添い続けた。
本イベントでは彼の持つ特異性から、巫王派も領民も道連れに破滅させんと目論むヴィセハイム伯ゲルトルーデ・ストロッロに目を付けられてしまう。
彼女の計画は、アーツユニットとして改造したコンサート会場にてクライデとエーベンホルツを共演させることで、共鳴した二人の「塵界の音」を街中に拡散させるというもの。
そして、「塵界の音」による源石活性化が最大限に効力を発揮すれば、周囲の感染者が急性症状で即死し、遺体からの粉塵拡散で都市中が壊滅的パンデミックに陥る…という算段であった。
紆余曲折の末にこの企みに気付いた音楽家たちは、コンサートの場でツェルニーの新曲を媒介としたアーツを発動させることで、「塵界の音」の拡散阻止どころか二人の脳内から永久に消し去るという解決策に辿り着く。
しかし、ゲルトルーデの方が一枚上手だった。細工を見破られた上に直接対決にも敗れ、密偵ビーグラーに捕縛された彼女だが、実は会場にもう一枚の細工を仕込んでおり、更にコンサートに合わせてハープの演奏を差し込んだことでアーツが起動。
これにより、コンサートの締めとして演奏されたクライデ・エーベンホルツ・ツェルニーの三重奏は、彼女の思惑通り演奏者と聴衆に巫王の呪いを振りまく儀式と化してしまう。
演奏者たちはいずれも自身が呪いを受け止める覚悟を決め、最終的にはクライデが受け止めたことで会場外への拡散は抑えられる。
加えてツェルニーや成長したハイビスカスが聴衆の避難誘導に尽力したことで、ハイビスカスの病状悪化等の被害は出たものの、死者や新たな感染者の大量発生という最悪の事態は免れた。
しかし、クライデは受け止めた呪いの影響で源石外殻に覆われ、まるで巫王を想起させる姿へと変貌して暴走。辛うじて残された理性でエーベンホルツに自らを止めることを頼み、その通りアーツで倒される。
戦闘後、エーベンホルツは戦いの中で負った源石切傷を即刻処置しなければならず、クライデはもはや遺体の崩壊に備えて密室に封じなければならない状態であった。
だが、エーベンホルツに最愛の友を看取らず自身の治療を優先するいう選択肢など存在しなかった。
かくして二人は、最期の会話を交わし、遺体を封じるための休憩室に向かう。鉱石病の伝染も、クライデを借りて語り掛ける「塵界の音」の声もエーベンホルツが歩みを止める理由にはならなかった。
クライデの死後にエーベンホルツはフルートを彼に託し、代わりに形見としてチェロを預かった。
そして夕日の中、エーベンホルツのチェロの独奏を以て「塵影に交わる残響」は幕を閉じる。
短くも忘れ難き出会いの、友のチェロ弾きを想いながら。
私服姿 |
|
最新の20件を表示しています。 コメントページを参照